1円の価値
- 山口 祐臣
- 2019年4月26日
- 読了時間: 2分
先日、会計時に大量の小銭を出して 店員の方を困らせる動画が話題に なっていました。 数人の撮影者と思われる男性の笑い声と 店員さんの手の動きから伝わる戸惑いが なんとも辛い動画でした。 こうした嫌がらせに対応する方法は 毅然と断ることなのですが、「お金には 変わりないだろう」などと言われてしまうと 返答に苦慮してしまうと思います。 実は、こうした事態を想定した法律が 存在します。 「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」 という耳慣れない法律が存在するのです。 この法律の第7条にこのような記述があります。 「貨幣は、額面価格の二十倍までを限り、法貨として通用する。」 法貨とは法律で定められた、強制力のある 支払い方法です。つまり通常は拒否できない 訳です。 しかし、第7条には「額面価格の二十倍まで」 とあります。 つまり、1円でも5円でも一種類の貨幣に対して 二十枚までしか使用できませんよ、という
制限をしているのです。 これは、一般的な商取引において手続きの 煩雑さを避け、効率的な取引を行うために 作られた条文です。 この法律を根拠として、悪意あるお客様には 小銭でのお支払いを断っても良いのです。 1994年に放送されたドラマ「お金がない!」の 中で、貧乏な幼い兄弟が兄のためになけなしの 小銭を持って百貨店にネクタイを買いに行って 店員に断られる場面がありました。 帰宅してから「ねえ、1円はお金じゃないの?」と 泣きながら兄に問いかける場面は悲しいものでした。 実際にこうしたケースがあるのであれば、善意の お客様として、一緒に予算内のネクタイを選んで 時間がかかっても小銭を数えるべきだと思います。 悪意あるお客様には毅然とした対応をするために 関連法令を知っておくことは大切です。 他方、事情がある善意のお客様をルールで縛ること なく、柔軟に対応する「商いの精神」を忘れずに 持つことも必要です。

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